こんにちは、見習い庭師のノスケです。
新年が始まり早1ヶ月が経ちますが、まだまだ寒さが深まる日々です。
寒さの厳しい冬は剪定できる庭木が限られるため、伐採や抜根等の
仕事をさせていただく機会が多くなります。
先日は、はじめて一人での抜根作業を任せてもらいました。作業場所は親方の自宅庭。
昨年末に導入したパッカー車の駐車スペースを確保するため木も動かすことになりました。
ポポーの木(直径10cm程度)とドウダンツツジを2本です。
最初にポポーの抜根から。なお、今回は練習のため移植を想定した手順で作業を進めました。
1:まずは道具を用意します。
シャベル、ツルハシ、ひも、ノコギリ(根切り専用のものがあると○)一輪車。
2:家全体を確認し、水道メーターや台所の位置から配管の方向や深さを見ます。
掘る木の周辺に雨水管や水道管、汚水管(都市ガスの場合はこれらに加えてガス管)がないか、しっかりと確認します。確認できれば掘る位置を決めていきます。
3:木の根鉢を作る(※単純な抜根の場合この作業は不要)
木の幹周を半径にした円を描きます。これが根鉢となります。(参考画像:親方の移植作業)
掘る深さはシャベルの頭二つ分の深さを目安にします。
これでどこまで掘るかの目安が決まりました。
*掘る上でのいくつかのポイント
・幹に対して体の側面を向けた状態で円を回るようにして掘り進めていくのですが、
後退しながら掘っていくと掘った場所を踏み荒らすことなく進めていけます。
・根を傷つけるリスクを抑えるため、幹に近い方から外側へ掘るような角度にシャベルを傾けることも気をつけたいポイントです。
・掘った土はなるべく遠くへ投げることで、掘った場所に再び土が流れ込んでくることを
防げます。(最初はどんどん土が流れ込んできました。体験を通しての気づきです。)
親方はここまで説明を終えると、
次の休憩(1時間半後)くらいには終わるんじゃないかな
と言って去っていきました。この時私は内心、
(いえいえ、30〜40分くらいの仕事ですよ〜)
と思って掘り始めました。物心ついた時から公園や畑やら、何かといろんな場面で穴を掘ることがありました。成人になってからもこうして穴を掘っています。得意とはいえないですが馴染みのある作業です。
穴掘りは単調で均一な作業に思えてしまうのですが、実際に掘っていくとそうでないことがほとんどです。掘っていれば何かしらの変化と必ず遭遇します。
シャベルが硬いものにあたれば、そこには岩が埋まっていたり、木の根があったりします。
一部しか見えていない対象物をイメージし、土をけずって形取りそれが何か判明する。
シャベルの刺さる音が変わったかと思えば、土質が変わったり。
こちらがどれだけ一定のスピードで掘っているつもりでも、掘れるスピードは単調にはならなかったりします。穴掘りは単純なようで、実は奥深い作業だと感じます。
穴を掘ってるといつも清々しい気持ちになります。穴掘りにはどうも不思議な魅力があるようです。
(※画像は別現場での作業です)
そうこうしていると、30〜40分どころか1時間はあっという間に過ぎて、気がつけば休憩の時刻は30分後まで迫っていました。なんとか1時間半が経つ頃に、決めた位置まで掘ることが出来ました。その時には、目が回ってヘロヘロ。
休憩時間のお茶が身に染み渡る〜
抜根はこれで終わりではありません。シャベルを持って作業に戻ります。
ポポーの株は孤島のようになりましたが、未だ大地と繋がった状態です。
これを、根鉢の形を保ったまま地面から持ち上がるようにしていきます。
シャベルを裏返しに持ち、切り株の下を削ります。よく根っこを観察しながら注意深く。
株の形が半円形になると幹を持って揺すってみます。
最初は動きませんでしたが、もう少し削ってみてもう一度揺すってみると手応えを感じました。
いよいよポポーの木はぐらぐらと動くようになり大地から離れました。
今回は移植ではなく抜根のため、最終的には根についた土を全部払い落としてしまいました。
天地を逆転させて幹を土に差し込み、根が枝のように見えるようにし、根がどんな構造になっているのか観察しました。
地中にはこんなに根が張られています
普段木を見る時、地上に見えている部分を認識していますが、それより下、地中にまで木が続いていることをどのくらい認識しているだろうと考えさせられました。
目の前にある根の存在感を前にすると根が張っていることは分かっていても明らかに認識の程度は足りていないなと感じました。
木の面白さにまた気付かされる機会になりました!
今回は移植をシュミレーションした抜根のため、穴掘り作業までに留まりましたが、実際の移植では
事前に根回しという移植に備えた準備や、株を根巻きする工程も加わる等さらに大掛かりになるそうです。そちらも今後勉強していきたいと思っています。(移植作業の詳しい工程はこちらをご覧ください)
木の移植の時は、その木が新しい環境で生きていけるように根鉢の大きさをしっかりと見極めるのが大切なんです。根鉢作りは単純作業に見えるけど、そこには繊細で伝統的な技術がたくさん詰まっています。
今回やってみて人力での抜根はしっかりと肉体を駆使する作業だと実感しました。庭師にとってスコップは欠かせない道具のひとつです。スコップというのは人と地中とのコミュニケーションツールです。今後もスコップの扱いにますます磨きをかけていきたいと思います。
ということで、木の植え替えや伐採、伐根のご相談など、
庭木の事で何かお困りのお客様、ぜひいちど弊社までお問い合わせください!
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