こんにちは、見習い庭師のノスケです。年が明けて、気がつけばあっという間に3月になりました。
関西出身の自分にとって3月というと春。
上旬には桜が咲き始め、少しずつ薄着で過ごせる日が増えていくような時期です。
ですが、この記事を書いている今、窓の外はまだまだ雪が残っています

さて、先週から私は親方の庭の落葉樹を剪定させていただいてます。今回はその中の1つ、イチョウの木の剪定をひとりでやってみた感想と、見えてきた課題を綴ってみたいと思います

剪定はまず対象の木をよく観察して、完成イメージを描きます。(※このステップはとても重要です。)

親方

これは毎年剪定しているイチョウです。伸びた徒長枝や忌み枝を取り除いて、綺麗に仕上げてください。どれぐらいで終わりそうかな?


親方からのこのオーダーやイチョウの特徴、目の前のイチョウの様子をもとにして仕上がりのアウトラインをイメージし、所要時間を見積もります。

ノスケ

ええと・・・イチョウの木は成長が早くて徒長枝がたくさん出るから・・・
この木を仕上げるのにはだいたいこのくらいの時間かな


仕上がりのアウトラインを描いたものと、所要時間3時間と記した紙を親方に提出して確認をとります。(ひと枝20分を9本で3時間)

イメージが出来上がったら剪定に入っていきます。
剪定の進め方として、多くの教科書では樹木の上部から下へ向かっての剪定を推奨しています

理由は2つあります。1つには切った枝を掃除しながら進めるため。
もう1つは、切り間違えてもアウトライン修正しやすいため

一般的に木の成長は上部は盛んで、下部はゆっくりです。
そのため、剪定も上部は強く、下部は弱くということに気をつけないといけません。

カキコ

はい質問!どうして木は上の方が成長が早くなるんですか?

親方

植物は効率的に光合成することしか考えていない。ということは、上の方に伸びて葉を茂らせるが正解だよね。つまり、上ほど成長が早くなるよね。

しかし、親方は教科書とは真逆に下から剪定を進めます

アウトラインや枝の重なりを見極めやすいからなのだそうです

ノスケ

私も親方の真似をしてみましたが、剪定が全然進みません・・・(汗)

下部は切り間違えると修正が効かないこともあり、鋏がすすみません。
下からの剪定方法はまだ自分には早いと感じ、上からの剪定に途中で切り替えました。

上部には剪定対象の徒長枝がたくさんあり、それを切っていくと、木の様子も変化していきます。

教科書を読んで納得し、それを頭に入れたつもりで切っているのですが、実際に出来上がるものは全然違ったものでした。私が剪定した目の前のイチョウは完成イメージとかなり違う状態で、これ以上、どう手をつければいいのかわからなくなり、一度親方に見てもらいました。

親方は鋏を持って、この枝はこうだから不要で…と解説を加えながら、どんどん枝を抜いていきます。私のイメージにどんどん近づいてゆきます。自分がどうしてその枝を残したのか疑問に思うものがたくさん残っていました。

親方

ノスケさんはアウトラインを重視するあまり、流れ※に逆らう逆枝の見落としが多いから気をつけましょう。
      ※流れとは幹から枝先に向かい放射状に細くなってゆく枝ぶりのことです。

ノスケ

うーん・・・まだ全然自信が持てません・・・。前日にたっぷり予習していたのにいざ木の前に立つと不要枝が全然分かりませんでした

・ここまで切っちゃっていいのかな…
・花芽残さないとだよなぁ…
・枝数少なすぎないかな…
・ここにのめり込んでしまって、全体のバランス崩れてないかな…
・この枝なくなったら、やばいかな…
・今やってることって、もしかして先端をいじっているだけじゃないよね?

悩み始めると不安が尽きません。

親方

今はぼんやりと悩んでいる様子だから、悩みの解像度をあげましょう。
それにはやっぱり情報収集が必要です。遠目から見るのだけではなく、さまざまな角度や視点から木にアプローチし分析しましょう。
そして、分析に基づき剪定し、最初に持ったイメージと照らし合わせ評価しましょう。

3時間で見積もった剪定は結局5時間近くかかってしまい、途中は自分でも何をやっているのか分からなくて頭が混乱してしまいました。でもその迷った分だけたくさんの学びがありました。ありがとう、イチョウの木。